虹や月あかりからもらってきたおはなし
鉄砲をかついだふたりの紳士が山奥を歩いていました。風が吹いて、草や木がざわざわ。どうも腹がすいてきました。そこで見つけたのが「西洋料理店、山猫軒」の看板。家は立派な西洋づくり、ふたりは喜んで入りました。ずんずんすすむと、次から次へと何やら書いてあります。
髪をととのえ靴をぬいで、メガネやネクタイピンなどをはずす、用意しているクリームを全身にぬって、塩をもみこむこと…。
ふたりはどうもあやしいことに気付きました。鍵あなからは青い目玉がギョロギョロ…。
これは宮沢賢治の『イーハトーブ童話集』にあるおはなしのひとつです。イーハトーブとは、宮沢賢治の生まれた岩手のことをエスペラント語でいうのだそうです。童話集の他のおはなしや詩も、ぜひ読んでみてください。
2021年11月12日(大原寿美)