図書だよりカテゴリー 5・6年生から

戦場の秘密図書館シリアに残された希望

高い本だなを整理している写真の表紙

「本は雨のようにすべての人にふりそそぐ」とバーシトは言った。

 2011年に始まったシリア内戦。アサド大統領は抗議こうぎ行動をおさえ込むため、街を破壊はかいし、軍隊で包囲して完全封鎖ふうさしていきます。

 そんな『包囲された街』のひとつ、ダラヤは特に悲惨ひさんさが際立っていました。2012年から4年間外部から何の支援しえんもなかったのです。街は破壊はかいされ、食料も、けが人を手当てする薬もない状態で。

 銃弾じゅうだんが飛び交う町の地下に、秘密の図書館があると聞いたら、だれだっておどろくでしょう。食べる物もない状況じょうきょうで、危険をおかしてまで本を読んでいるなんて。
 でも、本当にあったのです。武器を持たずに街を守ろうとした若者たちが、がれきの中から本を見つけ出して集めた秘密図書館が。

 人々はひそかに図書館を訪れ、本を読むだけでなく、専門家による講義や読書会も行われていました。しかし・・・。
 内戦が続くシリアで、打ちひしがれながらも希望を持ち続ける人々の姿すがたを伝えるノンフィクションです。

2020年2月22日(田島たしま真紀まき

著者:マイク・トムソン 著

出版社:文溪堂

ISBN: 9784799902516