「本は雨のようにすべての人にふりそそぐ」とバーシトは言った。
2011年に始まったシリア内戦。アサド大統領は抗議行動を抑え込むため、街を破壊し、軍隊で包囲して完全封鎖していきます。
そんな『包囲された街』のひとつ、ダラヤは特に悲惨さが際立っていました。2012年から4年間外部から何の支援もなかったのです。街は破壊され、食料も、けが人を手当てする薬もない状態で。
銃弾が飛び交う町の地下に、秘密の図書館があると聞いたら、誰だって驚くでしょう。食べる物もない状況で、危険をおかしてまで本を読んでいるなんて。
でも、本当にあったのです。武器を持たずに街を守ろうとした若者たちが、がれきの中から本を見つけ出して集めた秘密図書館が。
人々は密かに図書館を訪れ、本を読むだけでなく、専門家による講義や読書会も行われていました。しかし・・・。
内戦が続くシリアで、打ちひしがれながらも希望を持ち続ける人々の姿を伝えるノンフィクションです。
2020年2月22日(田島真紀)