つなぐ くらし いのり
和ろうそくを見たことがありますか。おじいちゃん家の仏だん、お寺や神社などでお参りの時に見たかもしれませんね。
愛知の松井さんの工房でろうそくが作られます。ろうそくの材料は日本各地から集まります。長崎のハゼの実から「ろう」をしぼり、そのカスは福岡のあい染め液の燃料になり、徳島の「すくも」と佐賀の農家が作った「むしろ」が染め液作りを助けます。出た灰は大分の焼き物作りに使われます。和ろうそくの「しん」は和紙。岡山の農家が収穫した「ミツマタ」で職人が紙をすき、奈良の「とうしん」、滋賀のおかいこさんの「まわた」をまいて……。
昔からずっと自然といっしょに人もつながってきました。ものを作る人たちの知恵がつながって和ろうそくができます。作っていくなかで捨てるものがありません。ものを大切にしてきた人びとの心が伝わってきます。
2025年1月17日(中村順子)