大好きな子ヤギといっしょにはだしであそぶ
正吉は6歳、南の小さな島でおじいとおばあと暮らしています。
ある日、おじいから一匹の子ヤギをもらいました。草原をかけまわったり、母さんヤギのいる家へ乳を飲ませに連れていくのが正吉の仕事です。島でヤギは大切な食糧になってしまうので、かわいくても名前はつけません。正吉の「おれのヤギ」です。
大きな島で働いている母さんは時々帰りますが、もっと大きな島へ行ったという父さんと兄ちゃんのことは、おじいの機嫌が悪くなるので聞けません。
正吉は1年生になり、島の分校へ通うことになりました。
まもなく上空にはヒコーキ、海には黒い船がふえてきました。
分校では安全なところへ“ソカイ”することになり、正吉はみんなに手紙を書く約束をして迎えの船で出発しました……。
約束の手紙は届いたでしょうか。
2022年8月26日(大原寿美)