図書だよりカテゴリー 3・4年生から

すみ鬼にげた

鬼が四角い窓に手と足をかけている絵の表紙

奈良(なら)唐招提寺(とうしょうだいじ)(おに)がいた!

 マンガ「鬼滅(きめつ)(やいば)」は、人と(おに)との壮絶(そうぜつ)戦い(たたか)の物語でしたが、このお話の鬼は、日本の鬼と勝負がしたくて中国からやってきます。

 今から300年以上(いじょう)前、奈良(なら)唐招提寺(とうしょうだいじ)では大がかりな修理(しゅうり)が行われていました。ある日、大工見習いのヤスがお(どう)の前を通りかかると、「うぉーうぉー」とだれかが()いているような声が聞こえます。(さが)してみると、反り返った屋根を(ささ)える(すみ)()(かた)でささえながら、こぶしをひざにおき、きちんと正座(せいざ)したまま()いている鬼がいたのです。

 その小さな「すみ鬼」は、(とう)の国の(そう)が日本に来る(ふね)にこっそりと乗り()んだのでした。しかし、目の見えない高僧(こうそう)に見つかって、このお堂にくくりつけられたまま九〇〇年が()ぎてしまったというのですー。

 ヤスは、すみ鬼をかわいそうに思い、(くぎ)をはずして自由にしてやりました。さて、鬼の(ねが)いはかなうのでしょうか?

2020年7月17日(宮田(みやた)あづさ)

著者:岩城範枝 作 ; 松村公嗣 絵

出版社:福音館書店

ISBN: 9784834024715