アイヌの人々と共に
時代は江戸から明治へ移ろうとする幕末、ひとりの若者がはるか北の大地をめざした。彼の名は、松浦武四郎、全国を旅し、最北の地へと商人の船でたどり着いた。
そこは、えぞ地と呼ばれており、先住民のアイヌの人々が、カムイ(神)をまつり、ゆたかな暮らしを営んでいた。
ところが、その地の恵みに目をつけた役人や商人たちが来るようになり、アイヌたちは激しい差別を受けていた。武四郎は、この事実を広く知らせたいと、野帳と矢立て(メモ帳と筆)で刻明に記録をしながら、過酷な自然の中を歩き続けた。アイヌの人々と交流を深め、アイヌの子どもホロケウがいつも一緒だった。
武四郎の北への旅は数回に及び、後に「北海道」と名付けた。
絵本『北加伊道~松浦武四郎のエゾ地探検~』(関屋敏隆:文、型染版画 ポプラ社)には武四郎の歩いた地図が詳しく描かれているのであわせてどうぞ。
2023年11月10日(大原寿美)