図書だよりカテゴリー 5・6年生から

靴屋のタスケさん

エプロンをした男の人と小さな女の子が手をつなぎスキップしているような絵の表紙

♪かかと ととと ととと かかと♪

 タスケさんはいつもボロボロの(くつ)を直していました。「今ごろ新しい()の注文なんてないからね」と言いながら、大きなお店で修業()していたとき、赤いハイヒールを作ったことをうれしそうに話してくれました。

 「(わたし)も赤い()がほしい」、女の子はお父さんに「一生のお()い!」とたのみました。やわらかい皮でぱちんどめの赤い()ができました。足にぴったりの()をはいて女の子はタスケさんとダンスをしました。かかと ととと ととと…。

 でもある日、タスケさんは兵隊()さんになるためにお店を閉め()ました。その町に空襲(くうしゅう)があったのは、まもなくのことです。

 このお話の作者角野(かどの)栄子(えいこ)さんは『魔女(まじょ)宅急便(たっきゅうびん)』を書いた方ですが、こどもの(ころ)はずっと戦争()だったそうです。そんなときに「一生のお()い!」と赤い()をほしがる女の子って角野さんだったかもしれませんね。

2020年8月7日(大原(おおはら)寿()()

著者:角野栄子 作 ; 森環 絵

出版社:偕成社

ISBN: 9784035285205