ジャガイモの科学と歴史
ジャガイモのふるさとは南アメリカのアンデス。ヨーロッパには古くから伝わっていたけど、はじめは誰も食べようとしなかった。
「タネもまかないのに増えて、気味が悪い」
「悪魔が魔術でふやしてやがるんだ!」
ごつごつとした見た目から、食べると病気になると恐れられていた。実際、イモの芽や緑色になった部分などには「毒」が含まれている。
18世紀のヨーロッパでは、天候不順や戦争でよく食料不足が発生した。でもジャガイモは荒地でもよく育ち、収穫もはやい。今のドイツとポーランドにかけたあったプロイセンという国の王は、無理やり植えさせた。フランスの農学者のパルマンティエも、あの手この手で広めようとした。さて、悪魔の植物がどうやって食べ物として広まったのか?
「野菜には科学と歴史がつまっている」というシリーズの中の一冊。ほかに「トマト裁判の判決はどっちだ?」「ピーマンはコロンブスのかんちがい?」があります。
2025年7月4日(大村由紀子)