ぼくらはぜったい戦争しない
ぼくのおばあちゃんは、ぼくが学校へ行く時は「にいちゃん、いってらっしゃい」、夕方帰ってくると「にいちゃん、おかえり」とえがおで声をかけてくれる。
ぼくは、ひとりっこで弟も妹もいない。おばあちゃんは年をとって、ぼくとおにいさんの区別がつかなくなった。ぼくを戦争でなくしたおにいさんとまちがえているようだ。
1945年8月6日、おばあちゃんはたった1発の原子爆弾で、おにいさん、おかあさん、お
とうさんをなくした。そして、ひとりぼっちで大きくなった。
今でも、おばあちゃんの心には、大好きなおにいちゃんが生き続けているのだろう。悲
しい思いをしてきたおばあちゃん。ぼくはやくそくする、「ぼくらはぜったい戦争しない
」と。
作者の那須正幹は、3才のときに広島で原爆にあい、長い間、平和を訴え続けました。絵本作家の武田美穂さんとコンビを組んだ絵本には、ほかに『ねんどの神さま』(ポプ
ラ社)があり、これも戦争をテーマにしています。
2025年6月13日(岸野昌子)