図書だよりカテゴリー 5・6年生から

猿の手

本の表紙:金色の猿が手を出しています。

英米怪奇かいき小説はいかが?

冷たい雨のる寒い夜、ホワイト家にひとりのお客がやってきます。世界各国を旅したモリス氏がポケットからとりだしたのはさるの手。ひからびて、ミイラのよう。三人の人間が三つずつ願いをかなえられるのだと話します。モリス氏が“こんな不吉ふきつなもの”と暖炉だんろに放りんださるの手を、ホワイト氏は拾い出します。願いをかけるとさるの手はへびのように手の中でするっとよじれ……。


表題作「さるの手」をはじめ、この本におさめられた「不思議な下宿人」「魔法まほうの店」の三作品は英米の怪奇かいき小説として人気のある作品です。この本は児童文学者の富安陽子さんによって読みやすく書かれたもので、挿絵さしえ幻想的げんそうてきな世界感も加わり、翻訳ほんやくされたものと同じ読後感を味わえます。興味をもったら翻訳ほんやく本や原書に挑戦ちょうせんしてみるのもよし。外国文学への入り口としておすすめの一冊いっさつです。

2024年7月12日(辻恵子つじけいこ

著者:ウィリアム・ワイマーク・ジェイコブズ 他原作 ; 富安陽子 文 ; アンマサコ 絵

出版社:ポプラ社

ISBN: 978-4-591-17710-5