思い出してくれて、ありがとう
この物語の主人公、小学3年生のなっちゃんにとって、田舎のおじいちゃんの家で過ごすお盆の行事は、夏休みの大きな楽しみです。ホラふきが得意なおじいちゃんは、ほんとうとは思えない話をしては、「人をだますのが、うそ。人を楽しますのが、ホラ。」なんて言うけれど、そんなおじいちゃんのこと、なっちゃんは大好きなのです。
遠くに住んでいて、年に一度しか会えない親戚やいとこたちと過ごすお盆の数日間は、いつもとは違う時間が流れていくようです。会ったことのないご先祖さまが身近にも感じられます。
おじいちゃんやおばちゃん、大ばあちゃんから昔の話を聞く中でなっちゃんは、戦争で命を落とした大切な家族のことを知り、思う気持ちが強くなっていきました。そして盆踊りの夜、不思議なできごとに出合います。
2019年8月10日(岡本富美)