カッパのじっぽが大洪水で流されてきた!
ぼくって悪いやつかもしれない。飼ってたカメはエサを忘れて死なせてしまったし、犬のロルフとは遊んでやらないし、散歩もしない。
だけど大洪水の後でドロの中から見つけて、じっぽと名づけたカッパの子はぼくを手こずらせたんだ。おなかがすいたらグッピーや金魚をたべてしまうし、小学校に連れていくと大さわぎになるし。そのうち教頭先生が電話して大学の研究室に引き取ってもらったんだ。
でも、大学でじっぽは研究のために解剖されて標本になるかもしれないと父さんがいうのでぼくはドキドキしてきた。けっこうかわいかったじっぽ。「たろ、あそぼ」「おら、はら、へった、さかな」とぼくを呼んだじっぽの声を思い出す。それで自転車をこいでとなり町の大学へと必死に助けにでかけるんだ。
ぼくはじっぽをしあわせにできるのか。ぼくは。
2019年6月15日(弘末民代)