ゆっくり、ゆーっくり
まゆのとったん(お父さん)は理学療法士。市民病院のリハビリセンターで働いている。病気やけがで体の動きが不自由になってしまったひとが、もとの生活をとりもどせるよう手だすけをする仕事だ。休みの日でも夜中でも、救急の患者さんが来ると相談の電話が入る。まゆの誕生日祝いの日にも緊急で出かけてしまった。「とったんなんか、きらいだよ……」
ある日、おばあちゃんがけがをしてとったんの病院に入院した。まゆはそこで、汗をふきながら患者さんを支えるとったんの姿を目にする。「ひとりひとりの患者さんと、じっくりむきあって信頼してもらう。」とったんが、前に話していたことを思い出す。病院でのとったんの仕事を見たことで、まゆは、リハビリをがんばる患者さんやそれを支えるとったんと、理学療法士の仕事をほこらしく思うのだった。
2024年5月24日(川﨑美恵子)