ねえ、どうしてうちにきたの?
ある日、トマの家に遠い国から大きな荷物を抱えたブラディの家族がやってきました。パパとママからは「外国からのお客さんが来るよ。しばらくいっしょにくらすんだ」としか聞いていません。ブラディたちは、広い地下室に住むことになりました。
ごはんを作っても食べないし、一緒に学校に行っても気まずいまま。
以前の暮らしを思い出し、悲しむブラディをじっと見ていたトマは、一人でかいぞくごっこを始めます。やがて、ふたりは遊びだし、トムは気になっていたことをたずねました。
「ねえ、どうしてうちにきたの?」
「たたかい」や「ふね」、同じ言葉でも二人が思いうかべるのは、まったく違います。ブラディは難民で、トマには想像もつかないのですから。でも、相手を理解しようとする気持ちは大きな変化をもたらしてくれます。
2023年10月20日(宮田あづさ)