ことばできもちを伝えるしあわせ
「ことばをしらないいきもの」と「ことばをしっているいきもの」が出会ったらどうなるのだろう?
ことばをしらないいきものがいた。おいしいものを食べた時には、おなかをたたいて三回ちゅうがえり。冷たい風がこころをふきぬける時には、どうしていいのかわからなくなるので、ぐぐぐぐぐぐぐと声を出す。
いっぽうそれを見ていたことばをしってるいきものは、おいしいものを食べた時は「おいしい」と言い、「たのしい」「あったかい」と声に出す。「ハグハグ」とくりかえしながら、ことばをしらないいきものに近づいていった時のなんてうれしそうな顔だろう。ともだちになりたいんだよ。
「ハグ」。それがわかったいきものが、たったひとことつぶやいたしゅんかん、ふたりのあたらしいくらしが始まった。時にはことばのない時間もたのしみながら。
2023年10月13日(村井由岐子)