あの人に喜んでもらいたい
マルタは、いつも台所にいてくれるだけで安心できるお手伝いさん。少年グレゴリーは、マルタの「ここにはいい場所がない」と、さびしそうな顔がいやだった。マルタは生まれ故郷のウクライナの「金色のマリア様の絵」があった台所が、一番幸せな場所だと泣いた。難民としてロンドンに逃げて来たマルタに、グレゴリーはマリア様の絵をプレゼントしようと思いつく。
大英博物館、宝石店に実物のマリアの絵を見に行き、妹と絵を作る材料を少しずつ集め、土台から作り始めた。足りないものは自分たちのおもちゃや絵も使った。それでも美しい布が足りない。それは勇気をだして帽子屋さんにもらいに行くことにする。
内気なグレゴリーは、いろんな人の力を借り、絵が仕上がっていくにつれて変わり始める。今、グレゴリーのような子どもが世界中にいてくれますように。
2023年6月16日(村井由岐子)