「ふつう」のなかに隠れているよ
この本に出てくるふつうの男の子は、何もかもがふつうの毎日を過ごしていました。見る夢も着ている服もふつう、考えていることだってふつうです。ふつうの毎日は、色で表すと灰色。この絵本も最初の7ページは灰色で描かれています。
ところが、そこに全然ふつうじゃない先生が出てくるのです。名前はギー先生。どんなところがふつうじゃないかというと、生徒のことを「諸君」と呼ぶし、何か不思議な機械を教室に持ってきたのです。それは蓄音機といって、円盤型のレコードをセットすると音楽が聞こえてくるのでした。ギー先生は、音楽を聞いて思いうかべたことを、「ことばでかいてくれるかな」と言います。
ふつうの男の子は、ことばを使って、ふつうとはかけ離れた、魔法みたいに素晴らしいことをしてしまうのです。ふつうじゃないって、なんてすてき! と思わせてくれます。
2020年4月17日(刈谷明子)