山のてづくりとうふ
紹介するのは写真絵本です。写っているのは、岩手県の山の中のとうふやさん。90歳をこえた小山田ミナさんです。
ミナさんのとうふづくりの工程を、カメラはていねいに追っています。ミナさんは機械をつかいません。一晩水に漬けてふやかした2升5合の大豆を、石の臼でひきます。臼をゴロゴロと回すと、石と石の間から大豆が泡状に流れ出てきます。何と、ここまでに6時間かけました。
にがりをそそぎ、かきまぜ、型に流しこんで、できあがりです。山の湧き水もおいしさに一役かっています。
こんなに手間をかけて、できるとうふは24丁。ひとりで毎日作り、販売します。
若い時は耕し、牛やブタを飼い、野菜を育てる暮らしでした。両目に障碍のあるミナさんには厳しかったでしょう。
今、ひとりになって「これ以上欲しいものはない」と言います。アップで撮った笑顔やしわの手が美しく、晴れやかです。
2025年9月26日(坂本喜代子)